米国法人税代替ミニマム税(CAMT)について

目次

連邦法人税の一般税率

連邦法人税は、2017年12月にトランプ大統領が署名した税制改革法案であるTax Cuts And Jobs Actによって、2018年1月1日より一律21%となっています(改正前は35%)。

従前の法人税おける代替ミニマム税(AMT)

Tax Cuts And Jobs Actの施行前においては、法人に対してもAMTと略称される代替ミニマム税(Alternative Minimum Tax)が課せられていましたが、Tax Cuts And Jobs Actの施行に伴い従前のAMTは廃止されました。なお、AMTはAMTの定めに従って算定した連邦法人税額が通常の法人税額を上回る場合に、その差額を追加的に納税する仕組みとなっています。

新しい法人代替ミニマム税(CAMT)

2022年8月16日、アメリカで成立した通称IRAと呼ばれる「インフレ抑制法」(Inflation Reduction Act)法は、過度なインフレを抑制すると同時に、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めることを目的とした法律です。IRAの成立により2023年からCAMTと呼ばれる新しいAMT(Corporate Alternative Minimum Tax)が導入されました。

ただし、CAMTは、過去3年間平均の調整後財務諸表利益(Adjusted Financial Statement Income:AFSI)が10億ドルを超える大企業に限って適用されることとなるため従前のAMTと比較するとその適用場面は限定的であると考えられます。

なお、例えば日本を本拠とする企業など、米国以外に親会社を有するインバウンド多国籍企業グループ(※)の場合には、全世界のグループ会社の連結所得ベースでAFSIが10億ドル超、かつ米国内グループ会社のAFSIが1億ドル超の場合にCAMTの適用対象となります。

CAMTは、従前のAMTと同様に、AFSIに15%の税率を乗じて計算した税額と、通常の連邦法人税額(一定の調整項目あり)を比較して、CAMTが上回っている場合に、当該差額を追加的に納税する制度です。

なお、上述の規模要件以外でいえば、従前のAMTに関してはあくまで調整後の課税所得という税務上の所得を使用してAMTを算定していたこところ、CAMTにおいては上述のように会計上の利益を基礎としてAMTが計算される点が従前のAMTとの特徴的な相違といえます。

※適用されるその事業年度の財務諸表に含まれる法人に、米国法人と外国法人のそれぞれが最低でも1社含まれ、外国法人が親会社、または親会社と同等である多国籍企業グループをいいます。

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次
閉じる