米国連邦遺産税・連邦贈与税について

目次

連邦遺産税・連邦贈与税の概要

日本の相続税及び贈与税と同様に、アメリカにおいてもその死亡時及び生前における財産の移転についてはそれぞれ連邦遺産税及び連邦贈与税の課税の対象となっています。これらの税に関しては統一移転税制として統合され、共通の統一移転税率が用いられています。また、その税額も累積的に計算されることとなっているため、財産の価値等の変動がなければ、理論的には相続であっても贈与であっても支払うこととなる税額の総額への影響は、大きくないこととなっているます。

なお、納税義務者に関しては、日本では贈与税であれば財産の受贈者、相続税であれば被相続人から財産を取得した人となりますが、連邦遺産税の納税義務者は財産の贈与者であり、連邦遺産税の場合は遺産財団の遺言執行人または遺産管理人となっており、日本では基本的には財産を受領する側が納税義務を負うこととなりますがアメリカでは財産を贈与又は分配する側が納税義務を負うこととなります。

ただし、贈与者が適切に納税を行わない場合等、一定の場合には受贈者等も二次的な納税義務を負うケースもあります。

連邦遺産税・連邦贈与税の税率について

上述のとおり、連邦遺産税・連邦贈与税の税率は共通の統一移転税率が用いられています。

統一移転税率は累進税率となっており、最高税率は1百万USドル超の財産の移転に関して課される40%となっています。

統一移転税額控除について

連邦遺産税・連邦贈与税に関しては、統一移転税額控除という比較的金額の大きな控除が認められています。統一移転税額控除については2024年において予定されている控除は課税される財産の価額に換算した場合は、アメリカ市民等の場合約1,361万USドル (1USドル150円換算だと日本円で約20億円)となっています。従って、アメリカ市民等であれば、現状では相当額の財産を保有していなければ連邦遺産税・連邦贈与税の課税対象になる可能性は高くないと思われます。

日本の居住者について

例えば、アメリカ市民等ではない日本人が、アメリカに所在する財産を有したまま死亡し、日本人の相続人が財産を相続した場合も、アメリカ市民等同様に連邦遺産税の対象となりますが、この場合の控除額は6万ドル (1ドル150円換算だと日本円で9百万円)となっており、アメリカ市民等と比較して非常に小さくなっています。

ただし、日本とアメリカの間では、日米相続税条約(遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約)が締結されており、日本人についてはアメリカ市民等と同様に、2024年においては連邦遺産税について最大で1,361万ドルの控除が適用されることとなっています。

ただし、当然にアメリカ国内外に相続財産があるケースも多いでしょうから、その場合には上記の1,361万ドルの控除に関しては、一定の按分計算が行われることとなります(日米相続税条約第4条)。

終わりに

以上簡単にアメリカの連邦遺産税・連邦贈与税について紹介しましたが、国際的な相続に関しては非常に複雑な問題を多く含んでいるため早めに日米の公認会計士、税理士、弁護士等の専門家にお早めにご相談ください。

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